シティボーイは泣かない。

古い引き出しの奥に、ずっとしまわれていた手紙のような話。

2019-01-29から1日間の記事一覧

水夜

耳を澄ませば、夜の聲が聞こえる。 星と月の間を縫い付けるようにして、実体を持たない不確かなそれは、暗闇の中からそっと耳元に語りかけてくる。身を包んだ布団の中でも、昆虫たちが狂うように群がる街灯の下でも、日が西に落ちた後ならばどこでも聞こえる…