2018-11-01から1ヶ月間の記事一覧
二次会帰りの夜は嘘みたいに空気が澄んでいて、吐く息は白かった。 3年間続けた部活を引退した。正確には、1年生の前期の途中から入ったので、2年と半分。あっという間だった。「引退」という言葉を使うは高校のサッカー部の時以来で、これから先はもう使…
生まれて初めて太平洋を見た。 冬はもうすぐそこまで来ている。それなのに、11月の江ノ島は少し春の陽気を感じられるくらいに暖かく、沖にはヨットを出してセーリングに勤しむ人たちと、近くの浜ではサーフボードに身を委ねて良い波が来るのを待っている人た…
流れ星の大半は地球に落ちてくるまでの間に、大気圏の摩擦で跡形もなく消えてしまうらしい。てっきり、どこか遠くの砂漠か海にでも落ちて誰にも発見されず、その余生を地球の一部として終えていくのかと思っていた。その事実を知った時、お伽話が全てフィク…
夏の夕方には電信柱に月と人工衛星が墜ちる。二十歳の誕生日から二日後の夕方に蜩が鳴いていたので、バイト終わりの深夜のコンビニでタバコを買ってから、試しに吹かしてみた。1997年の夏から20回目の夏。薄手のシャツを着ていても汗が滲むような、深くて暗…
生まれて間もなく先天性の病気が見つかり、生死の境をさまよったことがある。おかげさまで開腹手術は、一歳か二歳の頃と、八歳の頃を合わせて二回経験済。病名は伏せる。10万人に1人くらいの確率の病気。度合いにもよるのだけれど、シテイナンビョウ?だった…
中三から聞いていた某有名バンドを最近聞かなくなった。理由はとてもシンプル単純。「年月を経るにつれて、共感できる部分が少なくなってきた」からだ。自分の価値観が変わってしまったのか、バンドの方向性が気づかないうちに、明後日の方向に向かってしま…
「あなたは二十歳の頃何をしてたの?」 「女の子に夢中だったよ」一九六九年、我らが年。 「彼女とはどうなったの?」 「別れたね」 「幸せだった?」 「遠くから見れば」と僕は海老を呑み込みながら言った。「大抵のものは綺麗に見える」 『1973年のピンボ…
好きでもないのにセブンスターの14mmを買った。いつもはラキストの赤。昔好きだった人に唆されて、恐る恐る吸ったのはWinston。思った通りに噎せた。 君が辞めたのはJPS。それ以来、たまに買ってきたのは僕と同じLUCKY STRIKE。それの軽いやつ。何故か少しだ…