1997年の夏。街の大きな県立病院で僕は産声をあげた。 幼い頃から生き物が大好きだった。両親は遠くへ車を走らせては、僕と妹を自然に触れさせてくれるような人たちだったので、虫網を車のトランクに折りたたんで詰めては、行った先でめいいっぱいに振るった…
オリオン座はもう随分と山の端へと傾いていた。 「就職。この街に戻ってくるの?」 彼女は、この日のために何年も前から準備していたかのようにそう言った。 「いいや。関西か東京に行こうと思う。一度は都会に行った方が、相応な経験を詰めるかなと思ってる…
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